電気蓄音機
電気蓄音機は非常に高価なもので、昭和一桁のころはお大尽向けのものばかりで、
レコード愛好家が無理して買うおうと思っても手が出ませんでした。
初期の頃は能率の良い真空管が少なかったので、真空管が多くて高い割には今一つといったところでしたが、
昭和10年頃からビクターやコロムビアが一般家庭を念頭に置いた従来より安い製品を発表します。
ビクター・コロムビアの安い電蓄は機械式卓上型よりもまだ高いものでしたが、
音色の幅はやはり電蓄という評判だったようです。
電蓄と言っても色々あってラジオ受信能力に拘ったものやレコード演奏にのみ拘ったものがあり、
300円以上のラジオ電蓄でスーパーヘテロダインで遠くの局も聴けるけど出力段は2A5のシングルで、
レコード演奏のみなら200円くらいのラジオ無しの2A5プッシュブルの電蓄のほうがレコード演奏には余裕が
ある..と数百円もするんだから何でもOKというわけでもなく、ラジオもレコードも高性能となると500円くらいからだったようです。
最高級の電蓄は輸入もののRCAビクター製品で、高いものはお値段が2千円を超えますが、こんなの米国でも余程の金持ちしか買わない
もので、日本でも買う人はどのくらいいたのやら。
「ディスク」や「無線と実験増刊 電気蓄音機」に紹介記事や、機械の構造の解説記事があるので熱心なオーディオ愛好家たちに、こうい凄い物があるとうことは知られていたようです。
電気蓄音器は、各方面の部分品の寄せ集めといった性格のもので、しっかり統一性があるように設計して良い部品を選択すれば良いものが出来上がるので、
小さな製造会社であっても、レコード愛好家も満足するような拘った製品を大規模製造会社よりもお手頃な価格で提供することが出来ました。
逆に部品を安く仕入れて音量優先、音質は二の次といった安物国産品も相当蔓延したようで、愛好家の間では国内製造会社
の安い製品はレコード鑑賞には使いたくないといった風潮があったようです。
(今現在も同じようなもんですが)
↓これなんかは見かけも宣伝文句も安物の国産品といった感じです。
濃いマニアになると自分が納得する自分だけの電蓄が欲しいというわけで、2A3やUX45・超45でプッシュブルやら直結やらを製作しました。
当時の電蓄のピックアップはマグネチックピックアップが主流でしたが、
クリスタルピックアップも国産化されていました。
ナショナルの電蓄にはクリスタルピックアップを使ったものもあったようです。

※クリスタルはナショナル以外にもラックスなど数社が製造してたようです。
古道具屋やネットオークションで戦前の電蓄がたまに出てきますが、戦前でレトロっぽいと闇雲に求める前に部分品の優劣を充分に検討する必要があります。
(もちろんまともな電蓄でも部品の抵抗・コンデンサーは交換なわけですが、寄せ集め電蓄....機械式蓄音器のアームに簡易ピックアップやマグネチックスピーカー、整流が12Fなんかで本気の入札合戦では悲しすぎます)
●RCAビクター
●日本ビクター
●コロムビア(日本蓄音器商会)
●KTL(木村研究所)
KTLの青木周三氏はこの分野の最高権威。300Aを2本なんて凄そう..
●ミネルバ(音の店)
自店販売から特約店が増えて日本楽器や三越まで取り扱うように..少数組み立ての工房といったところか?
●ナナオラ(七欧無線)
広告ではなくカタログです。はっきりした時期はわかりませんが78回転のほかにビクター長時間レコードのために33回転も出来てマツダの2A6や58・57を使ってることから昭和10年前後といったとこでしょう。6.3V傍熱管使用でハムが皆無という製品があるのも面白いと思います。
●その他の会社の製品
WEB近代資料 戦前の電蓄
安全第一修理は慎重に、当時の品を古道具屋・ヤフオクで求める際はくれぐれもご注意を!